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吉澤武彦のメールニュース「Muzinzo」です。

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信頼関係

━━━━━━━━━━ Muzinzo vol.45 ━━━━━━━━━━
         信頼関係  ◆吉澤武彦◆
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高田屋という蕎麦居酒屋で蕎麦を食べながらこんなやりとりが
ありました。

○「この店はなんで高田屋って屋号か知ってるか?」

●「社長が高田さん何ですかね?」

○「いいや。高田屋嘉兵衛って知ってるか?」

●「いえ、知りません」

○「関西は昆布ダシやろ。それは、高田屋嘉兵衛が北海道から
 昆布を関西まで運んで、やがてそれが文化になったんや。
 当時未開であった蝦夷地に入ってアイヌの人達と漁場を開拓し
 北海道からの流通を作った大国のロシアとも対等にわたりあっ
 たたいした人物なんやわ。その高田屋嘉兵衛からきているんや」

○「私にとっては、そういうのが仕事やと思う」

その時、その方の『仕事』という事のスケール感を心から感じま
した。スケール感というのは、単に規模という意味ではなく、
常識の外の枠に入っていき、文化に変化を与える1点を自分で決断
していきながら作っていくという質を追求した所から生まれるスケ
ール感です。

美味しかった蕎麦を食べた後、すぐ傍にあった本屋に入り
司馬遼太郎の「菜の花の沖」の一巻を「はい」って渡されました。

僕は、その日から全六巻ある高田屋嘉兵衛の歴史小説「菜の花の沖」
を約1ヶ月かけて読んでいきました。

そして先日、ようやく読み終えました。
読み終えた後、僕は夜中の3時頃でしたが「は、は~」と深々と
一人で頭を下げてしまいました。

尊敬と感謝と感動が入り混じったなんとも言えない気持ちになった
のです。

高田屋嘉兵衛


高田屋嘉兵衛さんは淡路の貧しい農家出身の船乗りです。嘉兵衛
さんは度胸があり、繊細な心配りができ、決断力と行動力を持ち、
そして私事に関しては限りなく無欲で誠実な方です。雇われの一
水夫が日本最大規模の船を持ち、函館を拠点に全国で商いを行い、
幕府の信頼を受け北海道の開拓を任され大成功に導きます。そして
ロシアと一触即発の緊張状態にあった状況の時に、たまたま海上で
捕虜として捕らわれるのですが、その嘉兵衛さんの人格にロシア側
の責任者が心から信頼と尊敬を抱き、嘉兵衛さんは幕府とロシアの
間に立って和平交渉を成功させた人物です。嘉兵衛さんは幕府の役人
でもなんでもなく、一町民なんですよ!

嘉兵衛さんの成した事やその魅力について詳しくお伝えしたい気
持ちがいっぱいなのですが、長くなりすぎるのでここではその紹介
を控えます。嘉兵衛さんを紹介しているサイトや小説「菜の花の沖」
をご覧になってください。

一つだけ捕虜とされていた嘉兵衛さんとロシア側の責任者「リコルド
少佐」の関係が垣間見える描写を紹介します。

嘉兵衛さんが約8ヶ月ロシアに拘束された後、日本と交渉するために
北海道の国後島に行きます。嘉兵衛さんをボートで岸に送る場面です。
過去3回ロシア船が北海道に下りた際、一度目はロシア側が略奪行為
や放火等を行い、二度目はロシア側の船長が捕らえられ、三度目は
日本に追い払われてます。その後嘉兵衛さんを海上で捕虜にしてて
その8ヵ月後の緊張感のある四度目の北海道です。

****    ****    ****    ****

ボートが用意された。
嘉兵衛を陸地へ送るためのものである。小ぎれいな制服に着かえた漕ぎ
手の水兵たちが乗りこんだが、これからの指揮に異例のことながら、
艦長リコルド少佐みずからがあたった。

「私自身が、タイショウ(嘉兵衛のこと)を渚まで送ってゆく」

と、かれは大声でいった。嘉兵衛は、あやうく涙がこぼれるところ
だった。ボートがディアナ号の黒い腹を離れたとき、嘉兵衛は多少
の感慨がないでもなかったが、知らぬ顔でいた。風は東から吹いて
いて、この日はめずらしく晴天だった。日本暦5月27日の朝である。

嘉兵衛はふと、リコルドの腰に長剣がないことに気づいた。
「カピタン」
と、嘉兵衛は、日本語化したオランダ語でよんだ。艦長、船長、
さらには転じて長崎のオランダ商艦長をもそうよぶ。
「その腰は、どうしたんだ」
「これか」
リコルドは笑った。

「これは、もはやお前さんに、ディアナ号もわしという人間の始末
もいっさいまかせてしまったというしるしだ。剣は人に害をあたえ
るものだから、お前さんを陸に送るのに、何の必要があるだろう。」

といった。このことは、嘉兵衛を感激させ、その『自伝』に詳しく
書かれている。
(中略)
リコルドは長い望遠鏡を持っていた。やがてボートが陸に近づいた
とき、磯づたいに二人の日本人が歩いているのが、望遠鏡に映った。
さらにはそれが金蔵と平蔵であり、何やら食物のようなものを持っ
ている様子まで見確かめ、嘉兵衛にそのことを告げた。そのあと、
「この望遠鏡で見ろ」
と、押し付けた。
「いいんだ」
嘉兵衛は、望遠鏡をリコルドのひざの上にのせた。誠意をこめていった。

「お前さんが見た以上、わしが見たのと同じなんだ」

この嘉兵衛の態度は、リコルドを安心させた。リコルドの丸腰といい、
嘉兵衛が望遠鏡を受け取らなかったことといい、たがいにこの外交上
の切所において信頼感の交換をしあっていることになる。

「わしの人間をみろ。透きとおっているだろう」

と、双方が、口に出してはいわないものの、この事のみを頼りに
一艘のボートを漕ぎ進めている。その痛いばかりのたがいの事情
を嘉兵衛もリコルドも見きわめぬいた上で、相手をいたわっていた。

****    ****    ****    ****

嘉兵衛さんは捕虜として捕らわれている間にロシア語を12歳の
少年から必死に学びました。(嘉兵衛さんのロシア側との交渉は、
まず言語を学ぶ事からスタートしたのです)しかしやはり言葉や
文化的な壁はあったと思います。

それらの壁を越えて、こうした関係を築ける人は本当にすばらし
いと思うのです。

それは、お互いの利害も十分に承知した上で、更にそれを超えた
お互いを思いやる心と心の通い合いなのだと思います。

そしてその人と人の信頼関係があればどんな問題も乗り越えていけ
るのだと思います。そうした信頼関係を人との間に築くことこそ、
今、この地表に生きている私達のテーマなのかもしれません。

今、いろいろと問題になっている尖閣諸島の外交上の問題も、
お互いを思いやる心があれば問題にはならないのかもしれません。
今、やはり利害や力関係ばかりが表に出て、本当に大切にすべき
ことが失われているのだと思います。

嘉兵衛さんは捕虜としてロシアに拘束されている時、責任者の
リコルド少佐に「上国とは何か」について説いています。

「他を謗ず、自ら誉めず、世界同様に治り候国は上国と心得候。」

上等の国とは、他国の悪口をいわず、また自国の自慢をせず、世界の
国々とおだやかに仲間を組んで自国の分の中におさまっている国をいう
という事です。

個人も村も会社も国も本質は同じなのでしょう。
だから鎖国の江戸時代に嘉兵衛さんはこれだけの事が言えたのだ
と思います。



先週の祝日は嘉兵衛さんの生まれた淡路の都志に行きました。

高田屋嘉兵衛公園という所に嘉兵衛さんと弟の金兵衛さんの小さな
お墓がチョンチョンってありました。その隣に誰か分からないお墓が
3つありました。
お墓


僕はたまたま買ってきたお花が5本あったから、1本ずつ置いていき
ました。嘉兵衛さんはそうして欲しいと言うだろうと思ったからです。
ワンカップ大関を嘉兵衛さんと金兵衛さんのお墓にお供えしました。
自分のビールの蓋をあけ、嘉兵衛さんと金兵衛さんのワンカップ大関
に「コン」と小さく乾杯して、お酒をご一緒させていただきました。

感謝の気持ちや感動した事などお伝えし、お酒の席でもあったので
「晩年住んでいらっしゃったお屋敷はちょっと大きすぎるんちゃい
ますか!」とちょっと突っ込みをいれたりもしてしまいました。

嘉兵衛さんが生まれた場所、潮の満ち引きを眺めていた場所、働
いていた場所、奥さんのおふささんの家のあった場所を散歩しな
がら訪ねていきました。それはどこにでもある本当に小さな世界
でした。

その日はとても美しい朱色の夕日でした。
250年位前にここから夕日を見ていたんだろうなぁとしみじみと
沈んでいく様子を眺めていました。

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 編集後記
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週末は「ヒロシマ・ピョンヤン」という映画を見ました。
北朝鮮の被爆された方を追いかけたドキュメンタリー映画です。
映画館に伊藤孝司監督や専門家の市場淳子さんがいらっしゃった
ので北朝鮮の被爆者の方々の事情を少し伺うことができました。
北朝鮮では、薬や設備は充実していないが、被爆者団体があり、
独自の被爆者手帳を発行し、優先的に医療を受ける等されていて
公式な集会も行われているようです。
核を持とうとしている北朝鮮が被爆された方に手厚くしている
状況は私にとっては少し意外でした。被爆された方が口にする
のは核の恐ろしさです。言論の自由がなく核を持とうとしている
とされている国がそのうな活動を許すのでしょうか。
大阪・浜松・東京で上映が行われるのでもしよかったらご覧に
なってください。
http://www.jca.apc.org/~earth/iinkai.html


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吉澤武彦

Author:吉澤武彦
日常全てが夢である

360°の方向性と
無限大の可能性を心と体全体に感じながら

自由に

大きく

繊細に

大胆に

この地球というキャンパスに

おもいっきり表現していきます。

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FMわいわいで2010年3月1日に放送された内容です。キャンドルナイトワンピースとTENSEIブーメランの事について紹介しました。
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